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販売促進費とは? 広告宣伝費や交際費との違いや仕訳例を紹介

販売促進費とは、販売を促進するための費用で、商品をアピールしたり、商品ブランド力を強化したりするための支出が該当します。しかし、広告宣伝費や交際費との線引きが明確でなく、仕訳の際に迷う経理担当者もいるかもしれません。企業としては、仕訳を明確にして、経理処理を適切に行いたいところです。販売促進費について、広告宣伝費や交際費との違いや仕訳例を紹介します。

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目次[非表示]

  1. 1.販売促進費とは
  2. 2.広告宣伝費や交際費、外注費との違い
  3. 3.販売促進費の仕訳例
  4. 4.販売促進に使える「小規模事業者持続化補助金」とは
    1. 4.1.小規模事業者持続化補助金の概要
    2. 4.2.小規模事業者持続化補助金の注意点
  5. 5.販売促進や広告宣伝費などの違いを明確にしよう

販売促進費とは

販売促進費とは、その名称のとおり、販売を促進するための費用です。

販売促進費の具体例には、次のようなものがあります。

  • 販売促進のために配布する「ノベルティ」「商品サンプル」の作成・配布にかかる費用
  • 販売促進のために配布する、景品やプレゼントの購入・配布費用
  • 販売促進のために開催する、展示会・見本市などにかかる費用
  • 販売促進のために実施するキャンペーンや販売手数料
  • 販売報奨金(リベート)にかかる費用

上記のように、商品サンプル、景品、キャンペーンなどの費用が該当しますが、目的が販売促進である場合に限られます。同じものに対する支出でも、目的によっては異なる勘定科目となる可能性があるので注意しましょう。

消費税の取り扱いは?

販売促進費の取引では、基本的に消費税がかかります。ただし、自社で作成した見本品・試供品の頒布時は、材料仕入時に消費税処理されるため、販売促進費の仕訳では課税の対象外です。また海外取引先へのコミッション支払いなどの輸出免税取引も、消費税の課税対象外となります。

広告宣伝費や交際費、外注費との違い

販売促進費と似た性質の勘定科目に、広告宣伝費や交際費などがあります。これらの科目は、一般的には次にように定義されています。

勘定科目
概要
販売促進費
特定の商品の売上・認知度の向上のために、消費者に直接働きかけるための費用
広告宣伝費  
不特定多数の人を対象に、自社や自社商品を広くアピールするための費用
交際費
得意先や仕入先、そのほか事業に関係のある人など、「特定」の人に対する接待、供応、慰安、贈答などの費用
外注費
業務の一部を社外に委託したときの費用

上記のうち、販売促進費以外の費用について、具体的には以下のとおりです。

広告宣伝費

広告宣伝費には多くの支出名目が存在します。例えば、不特定多数の人を対象として作成する、会社案内のパンフレットや、広告用ポスターの制作費などです。

交際費

取引先を観劇へ招待する費用や、消費者へのアンケートの謝礼などが該当します。広告宣伝費との違いは、対象が特定されているかどうかです。例えば、自社工場において、一般の工場見学者に広く製品の試飲・試食をさせた場合、その費用は交際費ではなく広告宣伝費となります。

外注費

自社で必要な制作物のデザイン等を委託し、その委託先に支払った費用などが該当します。

販売促進費の仕訳例

続いて、販売促進費の経理上の扱いについて見ていきます。仕訳例を2例紹介します。

例1)「商品サンプル」を制作し、制作費用を現金で10万円支払った


借方
貸方
販売促進費
10万円 
現金   
10万円 


例2)展示会の出展費用30万円を普通預金から振り込んだ

借方
貸方
販売促進費
30万円 
普通預金 
30万円 


このように、支出の中身が販売促進費のみである場合は、簡単な仕訳になることが多いです。しかし、次の2例のように、販売促進費と同時にほかの費用が発生するときは、仕訳が複雑になります。

例3)販売促進のため、取引先に販売奨励金10万円を現金で支払ったのち、取引先と一緒に会食に出かけ、5万円を現金で支払った

借方
貸方
販売促進費
10万円 
現金   
15万円 
交際費
5万円 



例4)制作会社に販売促進の「ノベルティ」と、広告のための「ポスター」制作を同時に依頼し、各10万円を普通預金から振り込んだ

借方
貸方
販売促進費
10万円 
普通預金 
20万円 
広告宣伝費
10万円 



そのほかの似た勘定科目の仕訳例

・広告宣伝費の仕訳例

借方
貸方
広告宣伝費
10万円 
現金   
10万円 

・交際費の仕訳例

借方
貸方
交際費
10万円
現金 
10万円

・外注費の仕訳例(取引先が個人の場合※)

借方
貸方
外注費
10万円 
現金 
9万円 


預り金
1万円


※外注先が個人の場合は、仕事の種類に応じて所得税を源泉徴収する必要が生じます。源泉徴収した金額は企業側で納付するため、「預り金」として計上します。源泉徴収税の税率は10.21%(100万円以下の場合)ですが、簡略化してここでは10%としています。

商品券を経費として仕訳する場合の注意点

ビジネスで、商品券やギフト券を取引先や顧客に配布する場面もよくあるでしょう。そうした場合は、「配布対象が特定か不特定多数か」「特定の商品の売上向上が目的か」など、状況に応じて適切な勘定科目に振り分け、経費として計上します。その際には、正しく仕訳をするだけでなく、記録を残しておくことが重要です。

購入した商品券やギフト券の領収書を保管するだけでは、管理が不十分とみなされる場合があるのです。商品券やギフト券は経費となる一方で、現金と同じようにも利用できるため、資金隠ぺいに悪用される可能性があります。そのため、税務署からより厳格な記録が求められるのです。実務的には、商品券の種類や購入時期、配布時期、配布先、金額などを正確に記録しておくとよいでしょう。

商品券の経理処理についての詳細は、以下をご参照ください。

商品券やギフト券は経費になる? ケースごとの経費処理を紹介

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販売促進に使える「小規模事業者持続化補助金」とは

最後に、「小規模事業者持続化補助金」について紹介します。これは、小規模事業者が行う販路開拓のための取り組みを支援するための補助金で、販売促進にも使えます。現在、「一般型」「低感染リスク型ビジネス枠」がありますが、ここでは基本となる一般型について概要と注意点を見ていきます。

小規模事業者持続化補助金の概要

本制度の概要は次のとおりです。

【対象となる経費】

機械装置等費 / 広報費 / 展示会等出展費 / 旅費 / 開発費 / 資料購入費 / 雑役務費 / 借料 / 専門家謝金 / 専門家旅費 / 設備処分費 / 委託費 / 外注費

【限度額】

補助対象経費の2/3以内で、かつ、上限は原則50万円

【申し込みと交付の流れ】

1 「経営計画」「補助事業計画」の提出
「経営計画」「補助事業計画」など所定の書類を作成します。作成書類は地域の商工会または商工会議所に提出し、「支援機関確認書」の交付を依頼します。

2 再度書類をそろえて提出
「支援機関確認書(事業支援計画書)」を後日受け取ったら、「支援機関確認書(事業支援計画書)」や「決算書(または確定申告書)」などの必要書類をそろえて再度提出します。

3 審査期間
通常 1.5 ヶ月程度です。

4 補助事業の開始
審査に通過し、交付決定通知を受け取ったら補助事業を開始します。

5 報告
事業を実施し、事業終了後には実績報告を行います。

6 交付
報告を確認のうえ、適切であれば確定通知書が送付されます。その後事務局に請求書を提出し、請求書が受理されれば補助金が交付されます。

小規模事業者持続化補助金の注意点

承認されれば、経費を抑えて販路開拓の取り組みが実施できます。しかし、さまざまな書類を準備しなくてはならず、申込期限もあります。

本補助金は、おおむね4か月ごとに受付を締め切り、その期間ごとに審査が行われます。受付時期によって要件が若干異なり、新型コロナウイルスのような経済に大きな影響をおよぼす事態が生じた場合は、特別の措置が設けられることもあります。常に最新情報を確認したうえで申し込みを行いましょう。

また、補助金交付のタイミングが事業報告のあとになるため、かかる費用はいったん、自社負担が必要となる点には注意しましょう。

(参照)小規模事業者持続化補助金|東京商工会議所

販売促進や広告宣伝費などの違いを明確にしよう

販売促進費を、広告宣伝費や交際費、外注費などとの違いがわからず、広告宣伝費に一括して処理してしまうことも多いかもしれません。しかし、税負担にも関係してくるので、違いを理解して、正しい勘定項目で仕訳することをおすすめします。自社でどの経費をどれくらい使用しているかを明確にすれば、その科目のコスト見直しも行いやすいでしょう。

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